「守備に自信」で墓穴のドロー。F・マリノスに逆転優勝の目はあるか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 一方の柏は後半になると、大谷が後方に下がってビルドアップし、ボールの回りがよくなる。パスがつながって、ゴール前に迫り、シュート数も増える。クリスティアーノ、ハモン・ロペスという大砲がエリア内に居座り、さらに70分には大津祐樹も加えたことで、力攻めの展開になった。

これに対し、横浜FMはゴール前にベタっと張り付いてしまう。まさにロープ際でパンチを打ち込まれる状態になった。82分にFWの富樫を引っ込め、守備的MFの喜田拓也を投入したことで、相手の攻撃の勢いはさらに増した。攻められるたび、事故が起きる確率が上がっていった。

 そして88分だ。シュートブロックのこぼれ球を喜田が相手選手とゴール正面でもつれあい、ファウルの判定を受ける。このFKをクリスティアーノに右足で流し込まれ、同点に追いつかれた。

「あれを(ファウルに)とられるときつい」(横浜FM・喜田)

 判定は正当に見えたが、それ以上に、これはどこかで起きる破綻だった。受け身になる時間帯が長すぎた。齋藤が珍しく後半途中で足をつってしまうなど、守勢に回る時間は体力も奪っていた。精神的にも、同点にされてから攻めに転じる余力は残っていなかった。ベンチもそれを察してか、残っていた攻撃的なカードを切っていない。

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