勝利の女神は消極的な川崎Fにそっぽを向き、勇敢な浦和に微笑んだ (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

「相手に圧力をかけるには、やっぱりアウェーゴールが一番嫌なことだと思いますけど、そこにパワーを注げなかった。それがずっと守るという状態になってしまった。そこのところのパワーの使わせ方というのは、自分のほうでしっかりできなかったと思っています」

 試合後、鬼木達監督はそう自らの失態を認めている。

 それは闘う姿勢の部分だけでなく、選手起用の面も含まれるだろう。車屋の退場の際、左サイドバックを補填するためにトップ下のMF中村憲剛を交代させている。さらに、浦和がディフェンダーを1枚削り、FWズラタンを投入すると、ボランチのMF大島僚太を下げてセンターバックのDFエドゥアルドを投入した。

 もちろんこれは結果論であり、逃げ切りに成功していれば、その采配は讃えられただろう。しかし一発のパスで局面を変えられるふたりの司令塔を欠いてしまったことで、浦和はカウンターを浴びる恐怖がなくなり、より攻撃性を高められるようになったのだ。

 勝負を決めたのは、おそらく2点目だった。引いて守るだけの川崎Fに対し、浦和はDF槙野智章とDF森脇良太の両サイドバックが積極果敢な攻撃参加を繰り出して次々にコーナーキックを獲得。そして70分、左からの柏木のコーナーキックをズラタンが頭で合わせて2-1とした。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る