J2降格圏にあえぐ大宮と広島。「奇跡の残留」あるとすればどっちか (2ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Hiroki Watanabe - JL/Getty Images for DAZN

 しかしながら、対する広島にも、わずか1点のリードで劣勢の展開をしのぎ切れるほどの力はなかった。

 失点直後から連続攻撃で広島ゴールに迫り続けた大宮は60分、左サイドで得たFKからDF菊地光将がこちらも頭で決め、たちまち同点に追いついた。

 今度は、広島のヤン・ヨンソン監督が語る。

「試合開始から10~15分はアグレッシブな大宮に押し込まれたが、その後はうまく守れるようになり、30分を過ぎてからはいいゲームができた。そのなかでいい形で先制できたのに、セットプレーにはもっと注意すべきだった」

 その後は、同点ゴールで意気上がる大宮が攻め続けるも、勝ち越しには至らない。すると、次第に大宮の選手の足が止まり始め、ラスト10~15分ほどは、広島がボールを保持して攻撃を進め、大宮はただただブロックを作って守りを固める展開へと移行していった。

 結局、どちらも決勝ゴールを奪えないまま試合終了。それぞれ勝ち点1ずつを積み上げるにとどまった。大宮にとっても、広島にとっても、もったいない試合だった。

 どちらがより優勢に試合を進めたかと言えば、大宮だった。だが、1点をリードしたという点で言えば、より勝利に近づいたのは広島である。ともに勝ち点3を手にしてもおかしくない要素がありながら、皮肉にもそろってそれを生かしきれなかったあたりに、残留争いから抜け出せない両者の現実がよく表れていた。

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