強く見えないから強い。F・マリノスの「勝ちパターン」で王座奪還へ (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 開幕前は「ボールを大事にするサッカーをしたい」とエリク・モンバエルツ監督は話していたが、試合を重ねて結果を出すなかで、ひとつの形を見出したのだろう。勝ちパターンを確立し、横浜FMはこれで2位に浮上。今オフにチームを大刷新し、開幕前はネガティブな要素に満ちていた名門が復活の狼煙を上げている。

 もっとも、課題がないわけではない。それはやはり攻撃面。FC東京戦ではウーゴ・ヴィエイラに助けられたものの、チャンスの数自体は決して多くなく、そのままスコアレスドローで終わっていてもおかしくはなかった。また、両翼のスピードを生かすべく、カウンター気味に攻めたときにはチャンスが生まれるが、遅攻となった際には攻め手を失っていた。エースの齋藤にいまだゴールが生まれていないことも、看過できない問題だろう。

 さらに、この14試合で上位陣との対戦は川崎フロンターレのみ。そうしたスケジュール面も無視することはできない。

 その意味でも、絶大な強さはやはり感じられない。しかし、得てして優勝するチームとは、そういうものなのかもしれない。あれよあれよと勝ち続け、気づけば頂点に立っている。過去の優勝チームを見ても、堅守という特長がその要因となっているケースは少なくない。ひとつの勝ちパターンを手にした横浜F・マリノスが、2004年以来の王座奪還へ――。それも、夢物語ではなくなってきた。

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