強く見えないから強い。F・マリノスの「勝ちパターン」で王座奪還へ (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 FW大久保嘉人、FW前田遼一という得点王経験者を2トップにそろえたFC東京の陣容は、脅威を感じさせていたが、横浜FMの堅実な守備の前にほとんど何もできなかった。

 横浜FMにとっての前半唯一のピンチは39分。ラインの背後をMF髙萩洋次郎に突かれ、GKと1対1の場面を作られてしまう。しかし、GKの頭上を狙った髙萩のシュートは枠を外れ、難を逃れている。

 この場面、横浜FMは両サイドバックがともに攻撃に出てしまったことがピンチの原因となった。カウンターを浴び、ラインが整わないところを髙萩に突かれてしまったのだ。バランスを崩せば、ピンチを招くのは物の道理。これ以降、横浜FMは同じ轍(てつ)を踏むことはなかった。

 一方で横浜FMの攻撃も機能していたとは言えなかった。MF扇原貴宏が正確なサイドチェンジで幅を広げ、両翼のFW齋藤学とMFマルティノスを走らせたが、ドリブルに優れる両者であっても、単独で打開するのはなかなか難しい。時折左サイドバックのDF山中亮輔が攻め上がり、齋藤と効果的に絡んだときには可能性を感じさせたが、その機会は多くなく、相手を押し切ることはできなかった。

 もっとも後半に入ると、その山中の攻撃参加の頻度が高まり、齋藤がドリブルで仕掛けられる機会も増加。また、ボランチの扇原が高い位置を取ることで攻撃の迫力を増していく。この左サイドの連係が効果を発揮するなか、83分に決勝点もここから生まれた。

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