優勝争いを演じるセレッソなのに、ユン監督は激怒、山口蛍は危機感 (3ページ目)

  • 佐藤 俊●取材・文 text by Sato Shun
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 清水戦の後半はまさにそんな感じで、まるで練習のようにサイドから攻撃をされ続け、ゲームを支配された。

"サポートする意欲が見えない""諦めない姿勢が足りない"

 試合後のミーティングは30分以上にも及んで、ユン・ジョンファン監督の怒りは凄まじいものだったという。

「監督が怒っていたけど、それは当然だと思う。うちのチームは、まだ芯というか、拠りどころみたいなものがないんです。それがある強いチームは、失点したり、あるいはミスしたりして中盤がバタついても、最終ラインがしっかりしている。また逆に、最終ラインでミスがあっても、中盤で落ち着かせることができる。

 うちは、前線、中盤、最終ラインと3つのラインがあるうち、どこかがバタついてしまうと、それがみんなに伝わって、チーム全体がバタバタしてしまう。そういうとき、元(の落ち着いた状態)に戻れる拠りどころみたいなものがあればいいんですけど、それがないので、そこは作り上げていかないといけない」

 山口の言う「拠りどころ」というのは、「確固たるスタイル」と言い換えてもいいかもしれない。しかし、ユン・ジョンファン体制となって、まだ8カ月である。スタイルの確立は一朝一夕にはいかない。勝ち続けていくことで自信になり、そのときの戦い方が、自分たちのスタイルのベースになる。

 そういう意味では、セレッソは今一度、連勝していた頃のサッカーを思い出す必要があるだろう。

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