3位に浮上のグランパス。新外国人は「大当たり」も、まだ残る危うさ (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 そして、もうひとつの危うさの理由が、前述したプラス要素とは表裏一体であるが、ガブリエル・シャビエル(とシモビッチ)への依存度の高さである。

 そもそも、風間監督がおよそ5シーズンも監督を務めた川崎フロンターレと比較すること自体がナンセンスなのかもしれないが、やはり川崎での"風間スタイル"から受けた印象からすると、今の名古屋には物足りなさを感じてしまう。

 GKも含めた11人全員で的確にボールを動かし、チーム全体で相手を押し込む。そして、穴が見えた瞬間にどこからでも攻撃がスピードアップする。そんな迫力は、残念ながら今の名古屋からは感じられない。スピードアップのスイッチを入れられるのは、ガブリエル・シャビエルの他、MF田口泰士など、何人かに限られているのが現状だ。

 今後、新加入のブラジル人MFへの対策は当然進むだろう。これほどの働きが続く保証はない。それを考えれば、風間監督が言うように「選手がボールを扱いながら、相手を見てプレーできるようになり、最終ラインの裏の取り方が見えてきたが、まだもったいないところもたくさんあった。もっと質を上げていかないといけない」というのが、実際のところだろう。

 シーズン当初との比較で言えば、名古屋は間違いなく強くなっている。瞬発力を生かした強さは、すでにJ2で群を抜いていると言ってもいいのかもしれない。だが、勝ち点を重ねていく持続力という意味では、現在J2の2強を形成する首位の湘南ベルマーレ、2位のアビスパ福岡ほどの安定感はない。

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