3位に浮上のグランパス。新外国人は
「大当たり」も、まだ残る危うさ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 豊田スタジアム全体が勝利の余韻に気持ちよく浸るなかで行なわれた、試合後のヒーローインタビュー。ところが、マイクを向けられたFW佐藤寿人は、淡々と質問に答えるばかりで喜びは控えめ。自身2シーズンぶりの1試合2ゴールにも、声のトーンは低く抑えられたままだった。

「(チームが)トップに立っているわけでもないし、あんなものでしょ? これで喜んでいたら、『アイツ、2点取ったくらいであんなに喜んでいる』って笑われてしまうから(苦笑)」

 J2第27節、名古屋グランパスvs松本山雅FC。前節終了時点、勝ち点43で5位の名古屋に対し、松本は勝ち点39の9位。名古屋はこの試合に敗れれば、松本に勝ち点1差まで迫られ、3位以下の大混戦にさらに拍車をかけかねなかった。

 今季のここまでを振り返ってみると、名古屋は開幕前の期待値に比して、当初からなかなか波に乗れずにきた。それでも5月まではどうにか持ちこたえていたが、6月に入ると急失速。第17節から第19節まで3連敗を喫し、その後、第20節の1勝を挟んで、再び第21、22節で連敗と、この間の6試合を1勝5敗と大きく負け越した。

 このままでは、1年でのJ1復帰どころか、早々に昇格争いから脱落しかねない危機的状況を迎えていたのである。それだけに第25、26節と、およそ3カ月ぶりの連勝で迎えた今節は是が非でも勝って、巻き返しのきっかけにしたかった。

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