昇格PO圏内は目前。ファジアーノ岡山の「謙虚なサッカー」とは? (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 中西祐介/アフロスポーツ●写真 photo by AFLO SPORTS

 この日のシティライトスタジアムは座席がエンジで埋まって、抜群の一体感を作り出していた。声援は熱いのだが、偏執的ではない。刮目(かつもく)すべきは単に騒いでいるわけではない点だろう。プレーを注視している人が多く、ハンドやオフサイドの判定に対してのリアクションが渦となって起こる。

 アウェーチームにとって、これはやりにくい。

 岡山という町全体に、「昇格」という気運が高まっているのもあるだろう。それがアウェーチームには物言わぬ圧迫感となる。昨シーズン、岡山は史上最高の6位で昇格プレーオフに進出。プレーオフ決勝にも進んでおり、"あと一歩"を体験したことが後ろ盾になっている。

 もっとも、岡山は戦力的に突出しているわけではない。J1で実績のある選手は赤嶺真吾だけ。J2でも中位程度が妥当の戦力と言えるだろう。アンドレ・バイア(湘南ベルマーレ)、イバ(横浜FC)、ウェリントン(アビスパ福岡)、シモビッチ(名古屋グランパス)のような、有力な外国人もいない。

 そして昨シーズンから多くの主力が移籍、もしくは退団している。GK中林洋次、CB岩政大樹、MF矢島慎也、FW押谷祐樹ら、中核選手がことごとく去っていった。これだけのチーム改編は、昇格を狙うどころか、降格の危険と隣り合わせだったと言えるだろう。

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