エスパルスの未来が変わった。若手のゴールで首位セレッソに逆転勝ち (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 そんな緊急事態とも言うべき苦しい状況下にあって、それも首位を相手に2点をリードされる展開になりながら、今季リーグ戦初先発の北川ら、若手が堂々たる活躍を見せて勝ち点3を手にしたのだから、単なる1勝以上の価値があると言っていい。

 1995年生まれの金子、1996年生まれの松原と北川。彼らのような若手の台頭は、J1残留がかかる今季の残り試合はもちろん、来季以降の"清水の未来"をも明るく照らす。シーズン終了後(あるいは、もっと先)に今季を振り返ったとき、このセレッソ戦は重要なターニングポイントとして語られる試合になるのかもしれない。

 清水はこの貴重な勝ち点3により、勝ち点を25に伸ばした。順位こそ12位のまま変わらなかったが、降格圏の16位大宮アルディージャ(勝ち点16)との勝ち点差は9まで広がった。しかも、ホームではこれで3連勝。今季J1復帰を果たしたばかりの清水は、サポーターの力を借りながら、J1残留という現実的な目標の達成へ着実に歩を進めている。

 とはいえ、百戦錬磨の指揮官は、劇的な勝利に浮かれるどころか、さしたる喜びの感情さえ見せず、手綱を引き締めることを忘れない。「(今季)初めての逆転勝ち。よくがんばってくれた。(勝因は)0-2になっても、向こう(のペース)に合わせなかったこと。メンタル的に戦ったことが一番大きい。セレッソが油断したスキに入り込めた」と褒め言葉を口にする一方で、試合を振り返って強調したのは、むしろ苦言のほうだった。

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