エスパルスの未来が変わった。若手のゴールで首位セレッソに逆転勝ち (3ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

 左サイドMFの金子が内側へ絞った位置にポジションを取り、バイタルエリアで縦パスを受けると、一瞬のタメを作って左サイドへパス。金子が空けたスペースへ走り込んできた松原がこれを受け、低く速いクロスを送った。

 ゴール前に入ってきたのは、またしても北川である。今季初得点で気をよくしていた新鋭FWの選択は、クロスに対してシンプルに左足を振り抜くでもなく、トラップしてシュートコースを作るでもなく、意表を突く左足のヒールキック。金子のパスから生まれた松原の高速クロスは、北川の軽やかなボールタッチで軌道を変え、ゴール右スミに転がり込んだ。

「もう1回やれ、と言われたら入るかどうかわからない。(自分だけでなく)みんなのゴール。うまく流し込めてよかった」

 殊勲の背番号23が自らそう認めるスーパーゴールによって、セレッソを首位から引きずり下ろす痛快な大逆転劇は完結した。

 前半の戦いぶりを振り返り、苦言を呈した小林監督も、左サイドについては「前半からよかった」。ただし、「問題は精度だった」。そんな"鬼教官"も「(松原)后のボールもよかったし、(北川が)迷わず触ったのがよかった」と称える、あまりに見事な逆転ゴールだった。

 実のところ、この日の清水の台所事情は火の車だった。主力選手にケガや出場停止が相次ぎ、控えも含めた登録メンバー18名をそろえるのもひと苦労。リーグ戦出場経験のない2種登録(ユース所属)の2選手(FW滝裕太、FW平墳迅)を加えて、ようやく頭数がそろう状態だったのだ。

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