左利きの左SBが必要。福田正博が解説する「利き足」で生じるリスク

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

【福田正博 フォーメーション進化論】

 サッカーは"プレーを読む"ことが重要なスポーツだ。守備の時は相手がどのような攻撃をしてくるかを予測できれば失点を防ぐことが容易になり、逆に、攻撃時は相手の予測を上回れば得点チャンスが増える。そこで、相手に次のプレーを読ませないための特別な存在になり得るのが、左利きの選手だ。

ほぼ両利きの左SBとして活躍する長友。彼の後を継ぐレフティの台頭が待たれるほぼ両利きの左SBとして活躍する長友。彼の後を継ぐレフティの台頭が待たれる 左利きの選手はプレーのリズムやテンポが独特だが、とりわけ、ボールの持ち方に特徴がある。右利きの選手は、体の正面か右足の斜め前にボールを置くことが多いのに対し、だいたいの左利きの選手は、ボールを左足の真横の少し外側に置いてプレーする。中村俊輔しかり、ディエゴ・マラドーナしかり、アリエン・ロッベンしかり、リバウドしかり......。左利きの選手と同じような位置にボールを置いてプレーしていた右利きの選手は、"ピクシー"ことドラガン・ストイコビッチくらいだろう。

 すべての左利きの選手がこうしたボールの置き方をするわけではないが、右利きの選手が持っていない「懐の深さ」や「独特の間合い」があるため、チーム内に左利きが数人いると攻撃にアクセントをつけやすくなる。アーセナルを率いるアーセン・ベンゲル監督などは、チーム作りの段階で計画的に左利きの選手を2、3人ほど組み入れているそうだ。

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