徳島ヴォルティスが大変貌。スペイン人指揮官のもとJ1昇格へ好勝負 (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 指揮官の戦術的狙いと、そのための選手交代、ポジション変更も的確で、選手もその意図に沿ってプレーすることができる。結果はともかく、目指すサッカーが確実にチーム内に浸透してきていることをうかがわせる内容だった。

 最近では「対戦相手に研究されることも多くなった」と杉本。この日の湘南戦でも「相手が前から(プレスに)来ているのはわかっていた」が、結果的に「相手のサッカーに合わせてしまい、下(低い位置)でつなげるのに蹴ってしまった」と悔やむ。

 だが、そうした"徳島対策"が進むなかでも、一度も連敗せずにここまできているのは、敗戦の教訓が次に生かされている証拠だろう。

 とりわけ、今季J2の上位は混戦状態にあり、2つ、3つと連敗すれば、たちまち大きく順位を落としかねない。にもかかわらず、徳島がこの位置を保ち続けていることは、単にサッカーの目新しさだけが理由ではないはずだ。首位・湘南の壁に再びはね返される結果にはなったが、今季この先も、徳島はJ1昇格候補のひとつであるはずだ。

 J2得点ランキングの2位となる14ゴールで、好調なチームをけん引する渡は言う。

「ここで湘南に勝っていれば、勢いに乗れて、J1昇格にも現実味が出たはず。でも、ここで負けたことで、もっとやらなければいけないという気になったというか、これがカンフル剤になったと思う。これを機に、チームの力をさらに二段も三段も上げていきたい」

 すでに他チームの脅威となっている、徳島のポゼッションサッカー。新たな武器にさらなる磨きがかかるようなら、4シーズンぶりのJ1復帰もいよいよ現実味を帯びてくるに違いない。

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