徳島ヴォルティスが大変貌。
スペイン人指揮官のもとJ1昇格へ好勝負

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 徳島は第18節でホームでの湘南戦に敗れて以来、6戦無敗(5勝1分け)を続けていたが、またしても湘南に黒星を喫し、その勢いはそがれた。渡は「湘南戦といっても、(対戦相手別に)21試合あるうちのひとつ。特に意識はしなかった」としながらも、「相手(の戦い方)に合わせてしまった感がある。向こうのほうがトータルで上回っていた」と、湘南を称えた。

 これで、湘南と徳島の今季リーグ戦での対戦成績は、湘南の2戦2勝。順位と勝ち点のうえでは接近した状況での対戦だったとはいえ、徳島から見れば、力の差を見せつけられたとも言える。徳島は前節、2位のアビスパ福岡をアウェーで破ったのに続き、上位叩きを狙ったものの、逆に首位との差を広げられる結果となった。

 とはいえ、この試合が、両者ともにハイレベルな攻防を繰り広げた好ゲームだったことは疑いようがない。お互いが相手の出方に応じた駆け引きを繰り広げながらも、プレー強度が落ちることはなく、非常に見応えのある試合だった。

 その意味で言えば、敗れた徳島もまた強かった。さすがは今季一度も連敗することなく、上位争いを続けているだけのことはある。それを印象づけた試合ではなかったか。

 徳島がクラブ史上初のJ1を経験したのは、2014年のこと。前年シーズン、J2で4位となった徳島は自動昇格こそ逃したものの、見事にJ1昇格プレーオフを勝ち抜き、夢だったJ1昇格を実現した。

 しかし、初挑戦のJ1で勝利の美酒を味わえたのは3試合のみ。34試合でわずかに勝ち点14しか得られず、17位(セレッソ大阪)にすら勝ち点17差をつけられる断然の最下位でJ2に再降格した。

 以来続くJ2での戦いは、今季で3シーズン目を迎えた。一昨季は14位、昨季は9位と、最近は昇格争いに絡むことすらできていない。

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