徳島ヴォルティスが大変貌。
スペイン人指揮官のもとJ1昇格へ好勝負

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 しかし、さすがは首位に立つクラブと言うべきか。それでも湘南は慌てることがなかった。曺監督が語る。

「(ロングボールの出どころに)フタをしなければいけない部分もあったかもしれないが、長いボールを蹴られるからとラインを下げてしまうと我々のよさが出ない。裏を返せば、(徳島が)蹴らざるをえないプレスをかけているということ。心配はしていなかった」

 一方で徳島は、「1本目のロングボールで(セカンドボールを)拾えたので、それでいけると(いう気持ちに)なって、うちのサッカーはつないでいくのがコンセプトなのに、それ(ロングボール)ばかりになってしまった」と渡。MF杉本太郎もまた、「作戦のひとつとしては(ロングボールを使っても)いいが、それだけになったのではリズムはよくない」と振り返った。

 もしも湘南が徳島のロングボールを警戒し、プレスを緩めてラインを下げる選択をしていれば、徳島本来のパスワークに火がついた可能性もある。そうなれば、試合はまったく違う展開を見せていたに違いない。

 だが、湘南はそうはしなかった。

「とにかく、選手には『相手の嫌なことをしろ』と。(自分たちが前からプレスをかけ続けて)足を止めないことで、少しは徳島の特徴を出させない戦い方ができたのではないか。逆に相手の足が止まったときに、我々の走力を生かせた」

 曺監督はそう振り返り、「自分たちの土俵で試合ができた。自分たちのよさが出せた」と満足そうに話した。

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