徳島ヴォルティスが大変貌。スペイン人指揮官のもとJ1昇格へ好勝負

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Getty Images

 J2第25節、最大の注目カードだったと言っていいだろう。

 勝ち点47で首位に立つ湘南ベルマーレと、勝ち点43で3位につける徳島ヴォルティスの直接対決。徳島が勝てば、他の試合結果次第では首位に勝ち点1差まで肉薄することになる首位攻防戦は、しかし、湘南が2-0で勝利した。

 勝った湘南の2ゴールが生まれたのは、いずれも後半である。つまり、拮抗した試合は後半に動いたことになるわけだが、最終的に勝敗を分けたカギは、恐らく前半の攻防。それが伏線になった可能性は高い。

「徳島はボールを動かすことが得意で、(これまでの試合で)ショートコンビネーションで点を取る場面をたくさん見た」

 湘南の曺貴裁(チョウ キジェ)監督がそう語っていたように、湘南はボールポゼッションに長けた徳島に対し、高い位置から積極的にプレスをかける作戦に打って出た。

 これにより、じっくりと下からボールをつないで攻撃を組み立てることができなくなった徳島だったが、それでもロングボールをうまく使い、いくつかのチャンスを生み出すことには成功した。長身のFW山﨑凌吾をターゲットにし、セカンドボールをFW渡大生、MF島屋八徳が拾って前を向く形だ。

 ボクシングに例えるなら、手数で勝る王者に対し、数は少ないながらも的確にパンチを当てていく挑戦者。徳島はダウン(ゴール)を奪うまでの決定打こそ放てなかったが、効果的なパンチを繰り出しているかに見えた。

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