新生サンフレッチェが初陣。
J1残留の「黄信号」は青に変わるのか

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 試合後、ヨンソン監督は標榜するサッカーについて聞かれると、こう答えている。

「攻撃のなかでいくつかテーマがあります。そのなかで、できたら手間をかけずに直接的に攻撃を仕掛けていきたいと考えています。それとは別に、うまくコンビネーションを作って、特にペナルティエリア付近ではファンタジーが生まれる場面もあると思うので、そういうところをうまくミックスしたゲーム展開を作っていきたい。前半の最後のほうにはカウンターもありました。速い切り替えから直接的に仕掛けていくサッカーをしていきたいと思っています」

 ヨンソン監督が抽出していたプレーとは、前半40分のことだ。相手のコーナーキックを弾き返すと、MF青山敏弘が中央を走るMF柏好文へとパスをつなぐ。ボールを受けた柏はドリブルで中央を駆け上がると、右サイドを併走するMF柴﨑晃誠にラストパス。柴﨑のシュートは惜しくもサイドネットに外れたが、まさに手数をかけないカウンターから好機を見出した。

 ただ、先に不安要素を挙げてしまえば、3-4-2-1システムを用いていた前体制時にチームの武器となっていた柏が目立ったのは、このプレーだけだったことだ。以前はウイングバックを務めていた柏は、サイドからスペースを見つけて縦に突破を図る、もしくは中に仕掛けることで、持ち味であるスピードを活かしていた。ところが新体制ではサイドハーフになり、中央でボールを受ける回数が増えたことで、明らかに前を向いて仕掛けられる場面が減っていた。

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