欠場の浦和戦で若手ライバル台頭も、なぜ香川真司は余裕たっぷりなのか (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 ただし、その状況を踏まえてもなお、浦和は大いに健闘したと思う。

「攻められるのは想定内でしたし、そこで自分たちがどうやって守って、どう攻撃を仕掛けられるかが今日のポイントだった。ただ引いて守るだけではなく、そこから危険な攻撃を仕掛けられたと思う」

 DF槙野智章が振り返ったように、普段のJリーグとは異なる押し込まれる展開のなか、後方でしっかりとしのぎ、プレッシャーをかいくぐり、カウンターや素早いサイド攻撃から多くの決定的な場面を作り出した。一度は逆転されながらもふたたび追いついた粘りも含め、"ドイツの雄"を最後まで追い詰めたその戦いは、Jリーグで不調にあえぐ浦和にとって、後半戦に弾みのつくポジティブな一戦となったのは間違いないだろう。

 一方で、両者には埋めがたいまでの差があったのも事実だ。それは、簡単に言えば個の力だ。その象徴だったのが、華麗な個人技から2ゴールを奪ったFWエムレ・モルだが、この19歳だけでなく、ドルトムントの選手たちはコンディションが悪いなかでも、球際、身体の使い方、一瞬のスピード、あるいは確実に仕留めるフィニッシュワークと、あらゆる局面で浦和にはなかった個人の力の高さを示していた。

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