横浜FMを戦力外になった小林祐三が語る「鳥栖で選手が再生する理由」 (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masahiro Ura - JL/Getty Images

 小林は練習復帰後、ボールがいろいろなところに"当たる"感覚があったという。プレー勘の鈍りだろう。例えばインサイドキックは、イメージよりかかとやくるぶし近くに当たった。そこで一気にアクセルを踏まざるを得なかったら、空ぶかしでエンジンが焼き付いていたかもしれない。

「自分はこうしたケガをしたことがなかったので、それなりに不安でした。自分よりもっと苦労している選手は知っていますが、移籍のタイミングだっただけに、周りの人が信じてくれるのは力になりましたね。『今日の勝利は皆さんのおかげです』という台詞(せりふ)があるじゃないですか? もちろんこれまでも本気で言ってきましたが、心の底からそう思うし、このクラブや町に自分のプレーで還元したいですね」

 4月22日の第8節ヴィッセル神戸戦の試合終盤、守備固めで交代出場。小林は勝利で鳥栖デビューを飾った。第10節に古巣の横浜戦で1-0と完封勝利をして以降、7試合で3勝3分け1敗とチームの浮上に貢献。右サイドに鍵をかけ、そのプレー精度はむしろ向上している。

「今は少々自分の間合いを捨てても、前で奪えるなら、かわされてもリカバーすればいい、という気持ちでやれています。マリノスの頃は看板を少しでかくしすぎていたというか、『絶対にやられない、やられちゃいけない』というところがあったかもしれません。積極的に前にいけるようになったことで、むしろ(攻守の)引き出しが増えてきた気がしています」

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