気持ちで掴んだ勝ち点1。森保なきサンフレッチェ広島の小さな一歩 (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 リーグ最少失点を誇る横浜FMの堅守はなかなか崩れなかったが、90分、途中出場のMFフェリペ・シウバのパスに抜け出した柏が左サイドからクロス。これはDFにカットされるも、そのこぼれ球に反応したFWアンデルソン・ロペスが豪快に左足を振り抜き、同点ゴールを奪取。最後まで粘りを見せた広島が土壇場で追いつき、敵地で貴重な勝ち点1を手にした。

「難しい1週間を過ごしたなかで、先制されながらも、勝ち点1を取れたことをプラスに捉えたい」(千葉)

「時間がないなかでも1点を獲りにいってやる、という姿勢を見せられたと思う。(第16節)大宮戦のように1点獲られたら、2点、3点獲られてしまう試合もあったけど、追いついて、もう少しで逆転できるところまで持っていけたのは、非常に大きかったと思います」(柏)

 まさに、気持ちで掴んだ勝ち点1である。高い技術と熟成された戦術をベースに3度の優勝を勝ち取ってきた広島だが、この日の彼らを突き動かしたのは、「勝利への渇望」と「危機感」だった。決して洗練されてはいなかったが、泥臭くとも闘う意識を持ち続け、気持ちで相手を上回ったのだ。

 もちろん、今の広島に求められるのは勝ち点3であり、苦しい状況にあることに変わりはない。すでに報道にも具体的な名前が挙がっているように、3週間後のリーグ再開後は新たな体制で臨むことになるだろう。残り16試合、残留をかけた戦いに挑む広島にとって、この日の勝ち点1は、ひと筋の光明となるだろうか。

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