気持ちで掴んだ勝ち点1。森保なきサンフレッチェ広島の小さな一歩 (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • photo by Getty Images

 そこには、監督がいなくなったことによる寂寥(せきりょう)感だけがあるのではない。結果を出せずに監督を追いやってしまったという自責の念も、同時に滲む。それでも、結果を出せない監督がその立場を失うことは、プロの世界の掟(おきて)である以上、いつまでも立ち止まっているわけにはいかない。気持ちを切り替え、次の一歩を踏み出せるかどうか。7月8日に行なわれた横浜F・マリノスとの一戦は、広島にとってそういう戦いだった。

 森保監督の辞任が発表されたのは、7月4日のこと。そこからの4日間、暫定的に指揮を執ることとなった横内昭展ヘッドコーチのもと、広島は"闘う"姿勢を取り戻す作業に注力した。

「週の初めのほうはかなりショックもありましたけど、横さん(横内ヘッドコーチ)がいい雰囲気を作ってくれた。俺らベテランにも『お前らがやらなければいけないんだ』と喝を入れてくれたし、若い選手や試合に出てない選手に対しても、緊張感を与えてくれた。そうやってチームみんなで乗り越えようという意識を強く持ち、この試合に臨めたのは大きかったと思います」

 チームリーダーのDF千葉和彦は、そう振り返る。ともすれば崩壊しかねない状況だったチームは、監督退任のショックを振り払い、5連勝と好調の横浜FMに立ち向かっていった。

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