欧州派遣Jコーチに聞く「日本人選手が10代後半で伸びなくなる理由」 (3ページ目)

  • 了戒美子●文 text by Ryokai Yoshiko photo by Getty Images

 どういうことかというと、『オランダのサッカーはある程度「型」がある。その中でプレーしているから、15歳、16歳でそれと全く違うことを日本人にやられると、対応しきれない』ということなんです。速くてつかまえられないと感じる。だから年齢が若いと対応できないのだけれど、18歳くらいを過ぎると、トップに残っているのはインテリジェンスもある選手だから、だんだん対応できてくるらしいのです。そうなってくると日本は打つ手がない。即興性を消されたら、何で勝負するか。体もスピードも、決定的な強みがない。これはひとつの考え方だと思いました」

――どうしたらいいのでしょう。

「即興性のいいところは相手が読めないことです。デメリットは同じことをもう一度やることができないことです。だから、はまるときははまる。はまらなかったらはまらない。自然発生的にゴールが生まれたら、似たようなやり方はできるけど、同じことはできないし、対応されたら何をしたらいいかわからないですよね。

 僕も指導中に、相手を見なさい、味方を見なさい、スペース、流れを見なさい、と言います。日本の教え方は、気にすることが多いんですね。ベルギーでも気にすることは同じようにありますが、少なくとも味方のことは気にしなくていいくらい、システマティックに、こうすればここにいるはずだというのが各チームであるんです。『日本も即興性だけに頼らないようになったら、あっという間に強くなるのではないか』という話を白井さんもされていました。そういう話を、若くして欧州サッカーに直接飛び込んだ方からお話を聞くことができているのも、とてもいい経験だと感じています」

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