あの一戦で川崎F・小林悠は変わった。「内容より、今は勝てればいい」 (6ページ目)

  • 原田大輔●取材・文 text by Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 自宅の寝室の扉には、3枚の紙が貼ってある。そのうちの1枚には「タイトル」の文字が大きく書かれているという。天皇杯決勝で味わった悔しさが、勝つことへの執着に変わった。

「今は勝てれば、内容なんて二の次だって思っています。誰が決めたとか、どういうプレーをしたとか、正直、今はどうでもいい。もう本当に、全員で守ってセットプレーで一発だけ決めて勝っても、勝ちは勝ちですからね。こっちが相手を崩して2点取っても、相手に3点取られたら負けるわけですし、そこは今年になってすごく変わったところだと思います」

 それは、キャプテンとして見せた本心である一方で、ストライカーとしては"嘘"でもある。矛盾しているふたつの感情――それこそが小林の人間らしさでもある。

 3枚の紙のもう1枚は「全試合出場」だが、実は残る1枚に書かれている言葉こそが、小林悠そのものを表している。

(つづく)

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