3連敗で「非常ベルが鳴る」浦和レッズ。
プレー回路がガタつき始めた

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Masashi Hara -JL/Getty Images for DAZN

「非常ベルが鳴っている」(ペトロビッチ監督)

 その表現は大げさではない。

 6月25日、ベストアメニティスタジアム。浦和は悪くない立ち上がりを見せている。右ワイドの駒井善成が渦の中心になって、積極的に突っかけ、守備の壁を打ち破ろうとした。その混乱に乗じ、ラファエル・シルバ、柏木陽介らが際どいシュートを放っている。

 しかし、守備に粘りがない。ロングボールからのダイレクトパスで手数をかけずに崩され、ビクトル・イバルボに2度もゴール前に迫られてしまう。

「守備に脆さがあった。細いところが雑になっている気がした」

 鳥栖の選手たちから洩れてきた浦和の印象は興味深い。例えばヘディングを競り合った後のポジションがずれ、準備が疎かだった。傲慢さではないが、「王者」としての自負がスキになっているというのか。

「浦和は強く、形を持っているチーム。我々は限界まで出し切れて勝てるかどうか、まずそこを突き詰めた。とにかくしっかり走り、ぶつかるべきところはぶつかった」(サガン鳥栖のマッシモ・フィッカデンティ監督)

 勝負に対する謙虚さは対照的だった。後半に入った65分、鳥栖は右CKに小野裕二が頭で合わせた。小野は足をつりながらも、基本に忠実にゴール前でマーカーより一歩だけ前に出ていた。

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