永井秀樹ユース監督は伝えた。「みんながヴェルディの歴史を創るんだ」 (2ページ目)

  • 会津泰成●文・撮影 text&photo by Aizu Yasunari

「甘いかもしれないけれど......」と前置きしたうえで、永井は「勝ち負けよりも大切なことがある」と話した。しかし、勝負事である以上、最も大切なことは"勝利"ではないか。ましてプロとして生き残るためには、何を差し置いても勝負根性を叩き込むことが大切なのではないか。

 永井に聞いた。

「本質を大切にして、いいサッカーをして勝つ。これを目指さずに勝ったところで何の意味があるのか、と自分は思う。『何でもいいから勝てばいい』というサッカーには興味はない。いいサッカーをすれば、必ずその先に自ずと結果も、勝利もついてくる」

――勝負にこだわっていないわけではないと?

「もちろん。最も厳しい勝負の世界で長く生きてきた人間として、リーグ戦や公式戦で、選手たちに『負けてもいいよ』とは絶対に言わない。どんな試合でも、当然100%で勝ちにいく。でも、『目先の勝利より大切なことはある』ということは、選手たちに伝えていきたい。無論、プロとして生きていくなら、なおさらね」

 プロとは何たるか。アマチュアとプロの違いは何か。

 現役時代、永井がこんな話をしていたことを思い出した。

「Jリーグは"文化"として根づくことが大事。文化になるためには、いいサッカーをみんなが追求することが大切。どれだけ"感動"を届けられるかが重要。サッカーは芸術。だから、サッカーにとってのライバルは、クラブ同士ではなくて、例えば『映画』や『ディズニーランド』といった、サッカー以外のエンターテインメントだと考えてもらえるような業界にしたい。ディズニーランドに家族で行くよりも、価値がある試合を見せることができるかどうかが勝負だと思う」

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