J1で首位争いの柏とC大阪。共通点は「育成型」と「監督の決断力」 (5ページ目)

  • 津金壱郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 C大阪は、苦しくなった時にユン監督がどんな手を打つのかが興味深い。清武弘嗣、杉本健勇、山口蛍、柿谷曜一朗、丸橋祐介など、才能豊かな選手たちをまとめあげ、3年ぶりにJ1を戦うチームを、就任1年目にして首位争いをするまでにした彼には、まだまだ多くの引き出しがあるはずだ。

 柏、C大阪に加え、3位につけるG大阪にも言えることだが、自クラブの育成アカデミーで育った選手たちが躍動するクラブが、今年は上位にいる。育成システムはJリーグ創設当初からの理念のひとつで、G大阪は昔からJ1での成績につながっていたが、それが他のクラブでも結果に結びつくようになってきた。

 柏は、2010年にJ1で優勝した頃は、育成アカデミーとトップチームで志向するサッカースタイルが異なり、一貫したクラブの体制ではなかった。だが、その後に舵を切り直し、アカデミー育ちの選手がトップチームで力を発揮しやすい環境に変えたことで、選手たちはJ1で存分に実力を発揮できるようになった。

 もちろん、サッカーはクラブの数だけスタイルがあるべきで、浦和のように、お金をかけて外部から有力選手を数多く獲得するチームもあっていい。ただ、「リーグ発足時のような改革を」とJリーグが旗を振る中で、育成重視型のクラブが優勝争いに加わっているのは嬉しいことだ。彼らが後半戦にどんな戦いを見せるのか、とても楽しみにしている。

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