ジュビロがアウェーでレッズ撃破。
1年前とは全然違う「攻撃的守備」

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 1年前に時間を巻き戻せば、実は昨季J1ファーストステージ第2節でも、磐田は浦和に同じ埼玉スタジアムで2-1と勝利している。だが、このときの磐田は、ただただ我慢の守備を続けるしかなかった。当時の名波監督の言葉を借りれば、「高いラインを保ちつつ、飛び込まない。プレスバックやスライド、コンパクトなフィールドサイズを保って、90分戦っていこう」。ベタ引きでこそなかったが、積極的にプレスをかけることはなく、守備網に引っかかってくるボールをはね返すだけだった。

 ところが、今季の磐田の戦い方はまったく違っていた。昨季が「守備的な守備」だったとすれば、今季は「攻撃的な守備」。磐田の積極性が浦和を完全に飲み込んでいた。

 ただ、ほぼ完璧と言っていい内容で優勢に試合を進めていただけに、前半のうちに、それもセットプレー(CK)で同点に追いつかれたことは、あまりにもったいなく、痛恨だったに違いない。しかも、その後はハーフタイムを挟み、徐々に浦和へと試合の流れが移っていくなかで、56分には逆転ゴールを許した。

 せっかくこれほどの内容の試合ができていたのに......、嗚呼。スタンドにつめかけた磐田サポーターはもちろん、地元でテレビ観戦している人たちの嘆きまで聞こえてきそうな無情の試合展開だった。

 しかし、試合はまだ終わってはいなかった。

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