鹿島・大岩監督が求めた3つのこと。
新体制でも王者の哲学は変わらず

  • 原田大輔●取材・文 Harada Daisuke
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 先制点が生まれたのは、前半14分だった。相手のロングフィードをセンターバックの植田直通がクリアする。そのボールを、ボランチの三竿健斗、中村とつなぎ、2トップの一角を担った土居聖真がボールを受けて中央をドリブルで駆け上がっていく。同時に、ボールを預けた中村が土居を追い越すと、最後は土居からのラストパスをフリーで受けた中村が右足を一閃。強烈なシュートを突き刺した。

 まさに新監督の狙いどおりだった。シンプルにボールを動かすプレーと、ボールホルダーを追い越していく動きによって決まった得点だった。その先制点をお膳立てした土居が語る。

「(FWで起用されたことに対する監督からの)期待というか、メッセージは伝わってきた。もちろん、自分が得点も決めたかったですけど、自分が生きることで、周りが生きると思っていたので、今日はそれをもろに出すことができたと思う」

 前半30分、レアンドロが挙げた2点目も同様だった。レアンドロが縦パスを入れて、中村とのワンツーから決めたファインゴールも、すなわち追い越す動きから生まれた得点である。

 ダメ押しとなる前半43分のゴールは、MF永木亮太のボール奪取からレアンドロへとつながったものだった。それも大岩監督が求めた、チームのベースとなる組織的な守備によって生み出された得点であり、連動したプレスの成せる業(わざ)だった。永木が言う。

「(前半43分の)得点も、前からボールを奪いにいった結果だった。そうした前への意識が高かったことが得点にまでつながったので、よかったと思います」

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