レッズ撃破で8連勝。今年のレイソルは「夢を見られる」チームである (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 もうひとつの異能を示した中村は、昨年のリオ五輪にも出場した若手ナンバーワンのGKとしてすでに認知されており、このたび満を持して日本代表にも初招集された。184cmとGKとしては決して大きくはないものの、最大の特長は鋭い反射神経を生かしたセービングにある。この日も圧巻のセーブを連発し、文字どおり柏のゴールに鍵をかけた。

 37分にDF森脇良太の強烈なミドルを俊敏な動きで枠外にはじき出すと、54分にはMF関根貴大の至近距離からの一撃を完璧にブロック。73分にはエリア内から放たれたFW興梠慎三のボレーシュートも見事に食い止めた。いずれも、決まったと思われたシーンである。

 まさに鬼神のごとく、柏のゴールマウスに立ちはだかった中村は、後半立ち上がりのPKの場面でも名GKの佇(たたず)まいをかもし、冷静な対応を見せた。

 キッカーはリーグ得点王の興梠。「スカウティングもしてますし、リオ五輪で一緒に戦った仲間ですので、選手の情報はわかっていました」という中村は、興梠の動きをしっかり見極め、右にフェイク。読まれたと思った興梠は逆方向に蹴ったものの、ボールを大きく枠の外に外してしまった。

「ゴールはイメージで決まる」。元日本代表FWから、そんなフレーズを聞いたことがある。「ゴールが小さく見える」。ノッているGKと対峙すると、そんな錯覚に陥ることがあるとも、そのFWは言っていた。あるいはこの場面、目の前に立ちはだかる中村の威圧感を受け、興梠はゴールが小さく見え、得点のイメージを持てなかったのかもしれない。

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