「世界2位」の石井監督を電撃解任。鹿島にとってのクラブW杯の重み (4ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 パッと見、軽い。ボクシングで言えば軽量級。対する広州恒大はミドル級。鹿島のサッカーは、細工は利いていたが、威力に欠けた。レオ・シルバの戦線離脱(5月14日の神戸戦で、左膝を故障)も輪をかけるが、昨季終盤の戦いとの比較でいえば、サイドチェンジの絶対数が減っていた。だからサイド攻撃がいまひとつ生きてこない。

 とはいえ、その後も鹿島には惜しいシュート、決定的に近いチャンスは幾つもあった。そしてロスタイムに入った瞬間、金崎夢生がゴール右隅に決め通算スコア2─2とする。あと1点。もう10分あれば......、あるいはサッカーに判定勝ちがあるなら......。そう言いたくなる、追って届かずの惜しい敗戦だった。

 ただし、である。いくらいいサッカーをしても、負けてしまったら何も残らない――という考え方に通常、賛同する気はおきないが、この広州恒大戦に限れば別。多少見映えが悪くても、絶対に勝たなければならない一戦だった。照準を合わせていた、まさに大一番に鹿島は敗れた。

 Jリーグにおける鹿島の現在の成績は、消化試合数が1試合分少ない暫定順位ながら7位。首位柏と勝ち点6差だ。ACLで勝ち続ける限りは許される順位になるが、敗れてしまえば貧弱に見える。

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