「世界2位」の石井監督を電撃解任。鹿島にとってのクラブW杯の重み (3ページ目)

  • 杉山茂樹●文 text by Sugiyama Shigeki 佐野美樹●写真 photo by Sano Miki

 この時点でイーブン。流れでも試合内容でも鹿島は広州恒大を上回っていた。後で振り返れば、悔やまれるのは、先制点後の戦いだ。同点ゴールを奪われた広州恒大はトーンダウン。鹿島の優位は鮮明になった。だが、そこで鹿島は勝てると踏んだのか、逆に勝利に対して慎重になった。アウェーゴールを恐れ、一気呵成に出なかった。

 後半に入ってもこの流れは続いた。そうこうしているうちに、流れは互角になる。広州恒大も徐々にペースを回復させた。

 アウェーゴールが生まれたのは後半10分。スローインからあれよあれよという間に、ボールがゴール前に流れ、最後は、ブラジル代表MFパウリーニョに、押し込まれてしまった。

 通算スコアは1-2。だが、実質的には1-3に近い1-2だ。鹿島が勝利を飾るためには、2点奪う必要が生じた。そこから、必死の形相で鹿島は追いかけることになるのだが、エンジンのかかりはもうひとつ。

 全体的な印象は悪くない。他のJリーグのチームにはない何かが、鹿島にはある。いいサッカーか、悪いサッカーかといえば、間違いなく前者。ゴールを目指すための進路に間違いがないので、サッカーが美しく見える。こうしたチームにこそ勝ってほしいとつくづく思うが、一方で何かに欠けていたことも事実だ。

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