エスパルスを蘇らせた鄭大世の一撃。降格した2年前の脆さは消えた (4ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 そしてこの日も、勝利にあと一歩に迫りながらも結局はドロー。6試合で5つ目の引き分けとなった。

 勝ち切れない原因を訪ねると、鄭大世は首をかしげながらこう答えた。

「とりあえず、リードした後の試合運びがちょっと緩いかなとは思います。J1は実力の高いチームが多いですし、先に獲って守ろうとしても、結局追いつかれるという試合が続いてしまっている。どうすればいいのかわかっていれば勝っているわけですから、今は正直原因がわからないですね」

 それでも、この日の引き分けは、これまでとは違うと鄭大世は前を向く。

「これだけの実力の差がありながら、こういう試合ができる。最後のチャンスを決めていれば、勝てた試合だった。あきらめないという精神力が、勝負を左右するというのをすごく感じた試合でした」

 たとえ実力上位チームであっても臆することなく立ち向かい、最後まで勝利を信じて走り続ける。精神論ですべてを語れるわけではないが、結局勝負ごとを左右するのは、気持ちの部分が大きい。メンタル面の強さを保ったことでもたらされたこの引き分けは、清水にとってポジティブな結果だった。

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