来季はJ1で実現か。東京Vと
横浜FCのJ2天王山に見る両者の強さ

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 後半は守備一辺倒になることの多かった横浜FCだが、それでも87分にはカウンターから、途中出場のFW大久保哲哉がゴールポストを叩く際どいシュートを放っている。敵将も「我々はより長くボールをキープでき、より多くのチャンスを作ったが、相手もカウンターでチャンスを作った。あれを決められていたら負けていたかもしれない」と、肝を冷やした一撃である。

 同点に追いついた前半のゴールにしても、点の取り方に余裕が感じられた。数少ないFKのチャンスに、巨漢のFWイバがゴール前で楽々と競り勝つと、ヘディングしたボールがポストに当たり、そのはね返りをMF佐藤謙介が悠々と押し込んだ。

 前線に絶対的な武器を備え、決して出来のよくない試合内容でも少ないチャンスを確実にものにする。その気になればいつでも点は取れる、は大袈裟すぎる表現だとしても、だからこそ、少々追い込まれても、落ち着いて試合を進めることができる。

 横浜FCの中田仁司監督が「最低条件の勝ち点1を取れた」と評した一戦は、ある意味で横浜FCが「強者の戦い」で勝ち点1を強奪した試合だったと言ってもいい。

 現在8ゴールでJ2得点ランクのトップに立つイバは、同点ゴールの場面を振り返り、「ヘディングしただけで、その後どうなったのかはわからない。気がついたら謙介が決めていた」と笑い、堂々とこう言い放つ。

「相手が(自分を研究して)どうやってこようとも、チャンスは来る。その少ないチャンスを決めればいい。それだけのこと。自信はある」

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