あっさりボールを奪われる清武弘嗣。5年前の姿、まだここにあらず (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 今季J1に復帰したC大阪は、尹晶煥(ユン・ジョンファン)新監督のもとで守備組織を整備し、序盤戦の10試合を4勝4分2敗と、まずまずの成績で乗り切った。際立つのはやはりその堅守にある。10試合で8失点はリーグ最少。点を与えず少ないチャンスをモノにする。そんな戦いが確立されつつある。

 一方で、攻撃面には多くの課題が残されている。開幕からしばらくはセットプレーからしか得点が獲れず、本来ボランチの山村和也のFW起用が功を奏し、ようやく流れのなかからも徐々に点が獲れるようになってきた。だが、前線の連動性が不足しており、得点の数はなかなか伸びていかない。リーグトップタイの4引き分け。勝ち切れない原因は、まさにここにある。

 それでも、そこは昇格チームである以上、致し方ない面もある。「J1残留・定着」という目標を掲げるなか、内容よりも結果を重視する戦い方は当然だ。キャプテンを務めるFW柿谷曜一朗も、ある意味の割り切りが今のチームにはあると説明する。

「とりあえず結果がほしいです。連係とかそういうのは、今は必要ない。90分終わったときに相手より点を獲っていることを意識してやれればいい」

 もっともこの日のように守備組織が崩れなくとも、事故のような失点から敗戦を招く可能性もある。そのためにはやはり、「得点を奪うこと」への意識を高めることが求められるだろう。そしてそのキーマンとなるのがやはり清武だ。MF山口蛍も清武の存在の大きさを口にする。

3 / 4

厳選ピックアップ

キーワード

このページのトップに戻る