そんな「キャラじゃない」豊田陽平が
鳥栖のキャプテンになった経緯

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●写真 photo by Fujita Masato

 サガン鳥栖豊田陽平(32)は、第9節の鹿島アントラーズ戦で今季4得点目を決めている。得点ランキングは4位に浮上。FWとしての仕事は果たしている。

「自分が得点を取っても、チームが勝たないと意味がない」

 豊田が言うように、鳥栖は1-2で逆転負けしている。彼にとって、チームの勝利に代えられるものはない。それがエースとしての矜持(きょうじ)だろう。

今季から腕にキャプテンマークを巻く豊田陽平(サガン鳥栖)今季から腕にキャプテンマークを巻く豊田陽平(サガン鳥栖) 2017シーズン、豊田は鳥栖の新主将を引き受けている。チームのために、彼なりに考えた上での決断だった。

「もし面と向かって頼まれていたら、断っていたと思います」

 豊田は胸中を打ち明けたが、その経緯と決意に男の肖像が見えるのだ。

 豊田はサッカーキャリアにおいて、ほとんど一度もキャプテンになったことはない。小学校低学年のとき、「キャプテンのような立場にいたような気がする」という程度。中学も高校も、そしてプロに入っても、キャプテンとは縁遠かった。

「ストライカーとしてゴールを取ることに専念したいのはありましたね。キャプテンは、もう少し後ろのポジションの選手がやるべきかな、と思っていました。なにより、ピッチでみんなを鼓舞する、というキャラじゃないですから」

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