サンフレッチェの優勝を予想した記者が感じた、今季の違和感の正体 (3ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 佐野美樹●撮影 photo by Sano Miki

 今季の広島は、昨季得点王のFWピーター・ウタカ(→FC東京)とFW佐藤寿人(→名古屋グランパス)が移籍した一方で、前線にはMLSでプレーしていたFW工藤壮人と、テクニカルなブラジル人アタッカーMFフェリペ・シウバを補強。ここにMF柴崎晃誠(あるいはFWアンデルソン・ロペス)を含めた1トップ2シャドーが攻撃の軸となるはずだった。

 工藤は3得点と及第点の結果を出しているものの、まだまだその能力を生かし切れているとは言いがたく、10番を託されたフェリペ・シウバはまるでフィットしていないのが現状。3枚のうち2枚が新戦力であることが影響し、前線が機能不全に陥っているのだ。

 FC東京戦ではフェリペ・シウバがスタメン落ちし、1トップに工藤、2シャドーに柴崎とアンデルソン・ロペスが入ったが、お互いの距離感が悪く、3人による連係はまるで見られなかった。

 気になったのは、ビルドアップのぎこちなさだ。FC東京のプレッシャーはさほど強くなかったが、後方でのパス回しにスムーズさが欠けていた。

 いいときの広島は、ゆったりと回しながらも隙を見つけるや一気にテンポアップし、鋭いくさびやダイレクトパス、あるいは大きなサイドチェンジを駆使して相手の最終ラインを攻略していたものである。しかし、この日の広島はFC東京がブロックを作っていたこともあるが、なかなかギアが上がらず、チャンスのほとんどは左サイドのMF柏好文の単独突破から生まれるだけだった。

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