大宮がダービーで見せた「瀬戸際の力」。弱すぎた流れを断ち切れるか (3ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 山添敏央●写真 photo by Yamazoe Toshio

 後半、ピッチに出てきた大宮の選手は手応えを感じていた。自信がプレーに確信を与える。浦和が柏木陽介に代え、青木拓矢を投入するが、これでビルドアップが鈍くなる。一方、大宮は長谷川アーリアジャスールを引っ込め、大山啓輔を投入し、ポゼッションが安定。これで流れは大宮に傾いた。

 勝機を得た大宮において、群を抜いた技量を見せたのが、江坂任だろう。

 江坂はポストワークがしたたかで、相手に流れが行きかけた場面でそれを断ち切っている。また、ボールを前に運ぶ推進力も強く、シュートポイントに入る強度やタイミングも卓抜。そして後半63分の得点シーンは、センスが際立っていた。後方からのフィードを2列目に落ちながら迎え入れ、ターンして周りを確認しながら、一度もボールに触っていない。コンマ何秒のタメで敵DFを集め、右脇でフリーの茨田陽生(ばらだあきみ)にお膳立てした。

 結局、茨田がこれをニアの上に叩き込んで決勝点となった。

 浦和はこれ以降、猛反撃に出た。66分に投入された駒井善成が関根貴大と両サイドから絞り上げるように躍動。いくつもチャンスを作ったが、大宮の身体を張った守備に遭う。相手の気迫に焦ったのか、得点王を争うラファエル・シルバまでがシュートをバーの上にふかすなど、ゴールの枠を捉えられなかった。

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