もはや磐石の強さ。今季、二兎を追う浦和レッズが「両獲り」なるか (4ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • スエイシナオヨシ●撮影 photo by Sueishi Naoyoshi

 もちろん、結果的に大事に至らなかったのは、「浦和はクオリティーの高いプレーで我々を上回った」(ポポヴィッチ監督)からだが、例えば、もっと狡猾(こうかつ)に試合を進めてくる中東勢が相手であれば、(3-0になってもなお)これほど簡単な試合にはならなかっただろう。

 当然、選手もそれは自覚している。後半の劣勢になった時間帯、味方に身振り手振りで指示を与えていた柏木は、「後半、チームとして少し緩んでしまったところがある。攻撃はいい部分が出せたけど、守備ではもっとやっていかないといけない」と、厳しい言葉を投げかける。

 それでも浦和が今季、大きなチャンスを迎えているのは確かだろう。

 J1とACLを両立させるためには避けては通れない過密日程についても、ウェスタン・シドニー戦でキャプテンのMF阿部勇樹を外して臨んだように、うまく選手を入れ替えながら連戦をこなすことができている。

 また、柏木が「Jはガチガチに守られることもあるが、ACLでは前から来てくれるので、そこをいかに外しながらやるかを考えるのは楽しいし、"サッカーをやっている"感じがある」と話すように、異なるタイプのチームと対戦できるACLは、負担になるどころか、選手たちへのいい刺激になっている面もあるようだ。充実感を漂わせ、FW李忠成が語る。

「去年は勢いがあったが、今年は(勢いではなく)盤石な感じ。手応えは全然違う」

 2017年シーズンはまだまだ序盤戦にすぎず、本当の戦いはこれから。今季の浦和は一瞬たりとも見失うことなく、確実に二兎を追尾し続けている。

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