等々力の悲劇でまたドロー。川崎Fの「分けグセ」はいつ治るのか? (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 勝ち切れない最大の要因は、やはり得点力の低下に見出せるだろう。FC東京に移籍したFW大久保嘉人の穴はそう簡単に埋まるはずもなく、鳴り物入りで加入したMF家長昭博をはじめ、とりわけ攻撃陣にケガ人が続出していることもその状況に拍車をかける。リーグ戦8試合で11得点は決して少ない数字ではないものの、リーグ最多の68得点を奪った昨季を思えば、やはり物足りないと言わざるを得ない。

 もっとも結果が伴わないチームには、戦術や采配ではどうしようもできない「目に見えない何か」が働くこともある。以前、「なぜ勝てないのでしょうか?」と直球の質問をぶつけられた連敗中の某チームの監督が「そんなのわかるわけない。わかっていたら、とっくにやっているわ!」と激怒する光景を見たことがあるが、勝負事では時に、打つ手打つ手がすべて裏目に出る、いわば「憑かれてしまう」状況に陥ることもある。

 それは「流れ」と言い換えることもできるが、負けグセならぬ、分けグセがついてしまった今の川崎Fからは、最後まで勝てる雰囲気を感じることができなかった。先制されながら、2本の見事なシュートで逆転し、その後も押し込んでいたにもかかわらず、「追いつかれてしまう感」を拭うことはできず、冒頭のシーンへとつながる――。開始早々、清水のFW金子翔太にJ1通算2万ゴールのメモリアル弾を叩き込まれたのも、負のオーラに包まれた今の川崎Fを象徴していたのかもしれない。

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