ヒントは五輪リレー。日本サッカーに必要な「個の力」を福田正博が考察 (5ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 組織力を高めるために必要なのは、パスの精度やスピード、パスレンジの拡大、ポジショニングと連動、ボールを受けてからのターンといったもので、これはフィジカルの強さや走る速さとは異なる力だ。こうした技術は育成年代から磨いていくことが可能で、規律性を高めて連動することも日本人が得意とする分野だろう。

 現在のサッカー界は、ドイツやスペインのように強いフィジカルと高い技術を備えた選手が、規律のあるサッカーをすることで頂点に手が届く時代になっている。日本代表がフィジカル面で追いつくことは難しいが、それを補う技術力を身につけ、組織的なサッカーを構築することができれば、強豪国と伍して戦うことも可能になるのではないか。

 2026年大会は遠い先の話ではない。そこで主力となるのは、今の小学校高学年から中学生、高校生たちだ。W杯で決勝トーナメントに進む32カ国に入り、ベスト8以上に勝ち上がることを望むのであれば、育成もふまえた日本サッカーのスタイルを明確にし、「そのために必要な個の力」とはどういうものかを、今こそ議論すべきだろう。

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