ヒントは五輪リレー。日本サッカーに必要な「個の力」を福田正博が考察 (4ページ目)

  • 津金一郎●構成 text by Tsugane Ichiro
  • photo by Getty Images

 サッカーとは、105m×68mのピッチ内に敵味方を合わせて22人の選手がいて、GK以外は手が使えないことと、オフサイドというルールがあるくらいで、それ以外は自由なスポーツだ。たとえ時代の潮流がショートカウンターのスタイルにあったとしても、日本サッカーがむやみにそれを追いかける必要はない。

 日本サッカーの強化のヒントは、リオ五輪の陸上4×100mリレーで銀メダルを獲得した日本男子チームにあると私は考えている。速く走るという「個の力」では「10秒の壁」を破れていないにも関わらず、リレーでは、4人のバトンの受け渡し技術という「個の力」を磨き抜いたことで、9秒台で走る4人をそろえた海外勢を上回ることができた。つまり、これと同じように、日本人が苦手とする分野を強化しつつも、得意な部分をとことん磨いていくことをサッカー界も考えるべきではないか。技術力と組織力などの長所を前面に出す戦い方が、日本サッカーの目指すべき姿だろう。

 フィジカルの強さで海外の強豪に劣っているとしても、日本代表が技術力や組織力、連係をどこよりも高めていくことで勝機は見えてくるはずだ。もちろん、サッカーの試合は球際の争いが発生するものであり、イーブンの状況で屈強な選手とぶつかれば体格の差が如実に出る。しかし、有利な態勢でボールを持ち続けていられれば、体をぶつけられる回数を減らすことになる。そうしたイーブンな状況でのボールの奪い合いを減らすためにも、技術力と組織力を高めることが大切だ。

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