小笠原満男、J1通算500試合出場達成へ。「週2回戦う準備はできている」 (2ページ目)

  • 津金一郎●文 text by Tsugane Ichiro  五十嵐和博●写真 photo by Igarashi Kazuhiro


「戦力的に上積みしているように見えるけど、実際にやっているサッカーはまだ去年のレベルに達してない。能力の高い選手が加わればチームとして強化されるかと言ったら、そうとは限らないのがサッカーなんでね。それを組み合わせて、チームとしてひとつにまとまらないといけないけれど、いまの状況は、選手は揃っているけれどチームにはなっていない。その割には勝っているとも言えるけれど、目指しているのはそこではないから」

 小笠原がもどかしさを覚える理由は、昨シーズン終盤の鹿島がチャンピオンシップ、クラブワールドカップと立て続けに試合が続くなか、メンバーを固定しながらチームとして成熟していき、世界を驚かせるサッカーを実現できたことにもある。

「去年の終盤は連戦、連戦で疲労もあったけど、チームとしてすごく良いサッカーができた。あの内容をベースにして、そこから上積みできて初めて強化と言えると思うんですよ。でも、今年はまだ去年のベースにも達していない。新しい選手が入ってきたことでのズレがまだある。例えばプレッシャーをかけるにしても、1人目が寄せて、2人目がいって、3人目がいく。一人ひとりの一歩や二歩の遅れが、全体になると大きなズレになっている。だから、去年はできていた高い位置でボールを奪う守備にしても、今シーズンは高い位置で奪う回数がまだ少ない。こうしたズレは守備だけではなく、攻撃でもバリエーションは足りないし、ゴールに迫るチャンスの数を増やせるようにしないと。そのためにはコミュニケーションをもっと高める必要があると考えています」
 
 コミュニケーションと言葉にするのは容易いが、チームの根幹を担うセンターラインが新たな外国人選手であることで、言葉の壁もあって意思の疎通はなかなか難しい。しかも、優勝を争うチームにとって、コミュニケーションを深めるための時間は限られている。

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