予想外の凋落。「王者」サンフレッチェ広島に何が起こっているのか (5ページ目)

  • 浅田真樹●取材・文 text by Asada Masaki
  • photo by Ken Ishii - JL/Getty Images for DAZN

 だが今季、長くチームを支えた佐藤が名古屋グランパスへの移籍を決断し、森﨑浩は引退。森﨑和にしても近年はコンディションが整わず、シーズンを通して活躍することが難しい状態にある。3度のJ1優勝を知る中心選手たちには、青山、千葉、水本と30代の選手が並ぶ。広島は確たる軸を定めたまま、うまく新陳代謝を図ることができなかった。そう言わざるをえない。

 広島から若い選手がまったく出てきていないわけではない。むしろ、年代別日本代表にも選ばれるような有望株が、過去も含めて少なくない。しかし、チームの中心となって1シーズンを戦えるような選手は、なかなか現れてはくれなかった。

 思えば昨季J1最終節、勝ち点3を上積みし、どうにか6位に滑り込んだ新潟戦後、佐藤や森﨑和が奇しくも口をそろえて話していたのが、若手に対する「物足りなさ」だった。

 はたして今季開幕早々、広島は抱えていた不安要素が噴出してしまう。森保監督就任後では初めての4連敗。このまま泥沼から抜け出せないようなら、3度目となるJ2降格さえちらついてくる。

 一度は栄光に浴したからといって、広島に決して奢りは感じられない。森保監督にしても「高みを目指して理想は掲げるが、現実を忘れてはいけない」と語り、「まずは(J1残留の目安となる)勝ち点40をクリアしてから高みを目指す」と、過度なほどに謙虚な姿勢を崩さない。

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