ベルマーレとフジタ。暗黒時代を生き延びたからできた「幸せな再会」 (3ページ目)

  • 川端康生●文 text by Kawabata Yasuo
  • 写真提供:湘南ベルマーレ photo by(C)SHONAN BELLMARE

「ベルマーレを存続させるために、あのとき一番苦労したのは重松さんだと思っているんです。だから、毎年顔を出すようにしています。特に今年はこのユニホームを必ず届けないと」

 もちろん『FUJITA』のロゴの入ったユニホームである。

 今季ホーム開幕戦のスタンドには、懐かしい顔もあった。ベルマーレ平塚時代に広報を務めていた寿原英樹だ。

 当時はフジタからの出向。古前田充とは同期入社で、経理部で机を並べていた。寿原も大学の同好会でボールを蹴っていたこともあって、ふたりはすぐに意気投合。ついでに言えば、ともにアルコールを浴びるタイプ。終電を逃せば、練習場のプレハブを"グランドホテル"と称して泊まった仲でもある。

「もう、うれしくて、うれしくて」

 そう繰り返す笑みは満面に広がっていた。フジタのスポンサー復帰がうれしくてたまらないのだ。

 寿原は毎年、開幕戦には当時の仲間を誘って訪れてきた。それでも、これまでは内心複雑だったようだ。

「実は、心苦しさもあったんだよ。『おまえら、手を引いたくせに』って思われているんじゃないかって。でも、これからは胸を張って来られる。うれしいなぁ、本当によかったなぁ」

 満面の笑みはすでに赤らんで見えた。

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