「家長ロス」だけじゃない敗因。
最下位・大宮は敗れるべくして敗れた

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 光明があるとすれば、攻勢を強めた試合終盤の時間帯。なかでも、今季のチーム初得点となるゴールを決めた途中出場のFW清水慎太郎の存在が目についた。

「前半は足もとでもらう選手が多く、裏に抜ける選手がいなかった。自分が出たら裏に出ようかなと思っていました」という24歳のアタッカーにあったのは、単純にゴールへ向かうというシンプルな姿勢。得点のみならず、終了間際には鋭いカットインからあわやというシュートを放つなど、大宮攻撃陣のなかで唯一輝きを放っていた。

 この日は、新エースとして期待されるFW大前元紀が不在だったことも影響していただろうが、ボールを回すことを意識するあまり、リスクを負うプレーを欠いていた。その状況を打開した清水の姿勢こそが、今の大宮にもっと求められる要素ではなかったか。

 一方で、選手たちが感じていたのは、スタイル以前の問題だった。在籍3年目を迎えるMF横谷繁は、苦渋の表情で試合を振り返っていた。

「厳しいかもしれないですけど、現状に満足しているかというか、スタメンで出られていることに満足しているような選手がいる。球際だったり、身体を張るところで逃げているような気がする」

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