「家長ロス」だけじゃない敗因。最下位・大宮は敗れるべくして敗れた (2ページ目)

  • 原山裕平●取材・文 text by Harayama Yuhei
  • 山添敏央●撮影 photo by Yamazoe Toshio

 昨季までの大宮は、よくも悪くも「家長のチーム」だった。ポジションは主にトップ下を務めていたが、実情は自由気ままにポジションを変えるフリーマン。常にボールの近くでプレーし、味方を使いつつ、チャンスメイクのみならず、フィニッシャー役も担う。昨季は26試合に出場し、11得点・5アシスト。チームの総得点(41)の3分の1以上に絡む活躍だった。

 コンスタントに勝ち点を積み重ねた昨季の大宮だったが、セカンドステージ序盤だけは結果を出せなかった。その時期が、家長が負傷離脱していたタイミングと重なっていることも、大宮が「家長のチーム」だったことを裏づける事実である。

 その大黒柱が川崎Fに移籍した今季、大宮にとってはピンチであると同時に、さらなる進化を遂げるチャンスでもあった。個人頼みのサッカーでは、いずれ限界がくる。チームの組織性を高め、攻守においてイニシアチブを握るスタイルこそ、今季の大宮が目指すサッカーだった。

 その姿勢は、この磐田戦でも垣間見えた。ロングボールに頼らず、最終ラインからしっかりとつなぐサッカーを展開。ボール支配率では磐田を確実に上回っていた。

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