「風間革命」は終わった。
新生フロンターレが歩む「実務」のサッカー

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 藤田真郷●撮影 photo by Fujita Masato

そして前半42分、川崎は敵を圧倒する展開からの左CKで、中村がニアの谷口の頭に合わせ、先制に成功した。さらに前半アディショナルタイム、しつこくボールを追っていた阿部がエリア内で判断に迷った柏DFのボールを奪うと、中村にパス。これを昨季MVPが蹴り込んだ。

「自分がすごいプレーをしたわけじゃない。味方が決め、パスをもらっただけ」(中村)

 川崎はプラン通りの戦いで、2点差で折り返した。柏が自らボールの出どころを詰まらせ、プレッシングもはめきれないひどい出来だったのを差し引いても、効率的な戦いだった。

 しかし、後半になると様相は変わる。


 柏はプレスに遭う前に両サイドへボールを蹴り、スピードとパワーで一旦押し込み、クリスチアーノにボールを集める。これで主導権を取り戻した。後半60分、右CKをクリスチアーノが蹴り、武富孝介が頭で押し込んだ。柏はその10分後に中山雄太が退場になったものの、クリスチアーノはチーム事情と関係なく、ひとり脅威になっていた。

「90分間、前半のリズムを続けるのは難しい。失点する前に3点目を奪うべきだった。自分も一本打ちたかったシュートはあったが......」(小林)

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