今が旬の大型ストライカー。ガンバ長沢駿を日本代表の救世主に (3ページ目)

  • 浅田真樹●文 text by Asada Masaki
  • photo by AFLO SPORT

 だが、かつての長沢は、高さという類まれな才能を完全には生かし切れていなかった。2007年に清水のトップチームに昇格してからも、ロアッソ熊本、京都サンガ、松本山雅FCと期限付き移籍を繰り返し、高いポテンシャルを備えながら、なかなか開花し切れない。気づけば、際立った成績を残せないまま、プロ生活は9年目を数えていた。

 そんな長沢に転機が訪れたのは、2015年シーズン途中のこと。清水時代の恩師、長谷川健太監督に導かれるようにガンバへ移籍。徐々に出場機会を得ると同時に、少ない出場時間でも、大事な場面で貴重なゴールを決めていった。

 そんな活躍の背景にあるのが、前述した「DFとの駆け引き」。日本人離れした長身に加え、ゴール前でのポジションを取る術を身につけたことで、間違いなく得点能力は高まった。

「1回、相手の(背後に入り)視野から消えてニアへ入っていく形は、ファーで待っているよりも得意」

 長沢本人も自信を持って、そう語る。

 体格的な特性を考えれば当然のことではあるのだが、日本人選手にはスピードや敏捷性に優れたFWは多い。だが、その一方で、高さで外国人DFに対抗できるFWとなると、その数は激減する。つまり、長沢のような選手の希少価値は、日本代表では極めて高い。

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