豊田陽平「あの年、鳥栖は優勝してすごかったね」と歴史に残りたい (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki photo by Wataru Kohayakawa/AFLO

 その一方、新加入選手のお披露目は、ほろ苦いものに終わった。権田、スブットーニ、小川は戦い方に適応していたとは言い難い。失点のシーンは顕著だった。もっとも、これは悲観することでもない。鳥栖に戦術が根付いているという証拠でもある。新加入選手がスムースに活躍できるチームは、戦術が確立されていない恐れがあるのだ。

 今シーズンの鳥栖は、"ゆとり"を感じさせる。キャンプでは昨シーズンのように肉体的、精神的に追い込むようなトレーニングはしていない。メニューそのものはきついが、「連日2部練習」「オフなし」という"地獄の日程"は組まれなくなった。それはフィッカデンティ監督が、昨シーズン作り上げたチームに手応えを感じているからだとも言われる。

「残ったメンバーに対しては、監督の信頼を感じます」と豊田は言う。

「1年目は、監督もどこまで戦術が浸透しているのか、分かりかねるところがあったのでしょう。それで、分かっていないなという部分が出ると、どんどん練習量も増えました。まあ、マッシモは迷ったらとにかくやるという人で」

 1年間の刻苦で、確実に戦術レベルは向上した。それは昨シーズン、ファーストステージでは下位に低迷するも、セカンドステージは一時優勝争いに加わったことでも明白だろう。新戦力が上積みになったら、今シーズンの上位争いは間違いない。

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