サガン鳥栖、J優勝も現実的な目標に。カギは新戦力たちのアジャスト (2ページ目)

  • 小宮良之●文 text by Komiya Yoshiyuki 共同通信●写真 photo by KYODO

「今年のキャンプは、昨年ほどは走っていません。まあ、昨年は走りすぎたかな、というのはあったので」

 そう語る豊田は、フィッカデンティ2年目でゴールゲッターとしての堅調さを示す。水原戦は裏にクロスを呼び込み、GKの鼻先でトラップ、右足でかわしてから左足で叩き込んだ。エースの決定力の高さは、今シーズンも鳥栖の戦術を旋回させる軸になるだろう。

 チーム布陣は昨季と同じく4-3-1-2が主流。ポゼッションを守備に用いながら、放り込んでくる相手に対しては、跳ね返す強さを持っている。中盤は3枚なので、横のスライドが必要で運動量が多くなる。トップ下は中盤の守備をフォローし、トップを追い越す動きも求められ、縦や斜めのランニングの質が問われる。そこに2トップが連動し、相手のパスを限定し、味方のパスを引き出す。

 水原戦も、昨季から在籍する選手たちはその戦術を手際よく用いていた。

 例えば、ボランチの高橋義希は戦術ピースとして欠かせないだろう。目立たないが、いるべき場所を留守にせず、中央の防御力を高める。イタリア式戦術の申し子として、インターセプト数もJリーグ屈指を誇る。

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